2019年度の国民医療費は44兆円を超えた。我が国は高齢社会に突入し、ますます医療費は増大するばかりである。また、現時のコロナ禍において、いかに医療制度が矛盾だらけであったことも露呈した。世界一病院数、病床数がありながら医療が崩壊しそうなのである。医療崩壊は、病院勤務医師の不足が原因の一つであろうが、医師の地域差による偏りも原因の一つであろう。また、新設の大学医学部は、この50年間で一校のみであった。開業医に比べ、病院の勤務医は不足している。
しかし、医師不足を嘆いてばかりいられない。医療崩壊や医療費の増加を防ぐ最大の戦術は保健システムを普及し国民の一人一人が保健オタクになることである。そのことは国家にとっても優れた戦術で大幅な医療費の削減を期待することができる、と同時に国民一人一人の健康寿命を延ばす意味で大きいことであり、一石二鳥である。この保健システムを普及することは医師の業務を一部奪うことでもあるが、医師会は、医師を増やすことに反対してきたが、徹底した保健システムの普及に対しては理解を示すであろう。
新たに、近代保健システムと伝統的東洋型保健である未病とを統合した「統合保健学」も必要になるかもしれない。いずれにしても検査で異常が出る前に、自覚症状が出る前に保健システムを実施することが重要である。当学会は、以上の考え方から保健学を研究し、その成果である保健システムを国民に普及し、我が国の医療費の削減と国民の健康寿命を延ばすことを具体的目的として設立するものである。役員一同は国民の健康のため、学術的進歩のため有意義な研究成果を出したいと考えている。
令和4年9月3日
日本保健学会 発起人一同
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